書評 book review 「行動経済学」 2007 2 18

書名 行動経済学
著者 友野 典男
出版社 光文社新書

「我々は、合理的経済人か?」
「いや違う」と思います。
(問い)「なぜ、それを買うのか。他に、安くて品質がよい商品があるのに」
(答え1)「いや、それは有名(有名な会社)だから」
(答え2)「こちらの方が、デザインがいいから(好みの色)」
(答え3)「好きな俳優が、CMに出ていたから」
 最も合理的な経済人であるとされる「投資家」も、合理的ではありません。
たとえば、会社に、Aさんという美人がいました。
仕事もできるし、性格もよい。
それなのに、5年ぶりに、女性の新入社員が配属されるということで、
社内の男性は、浮足立っています。
「どこの馬の骨とも分からぬ、新入社員の、どこがいいのかしら」と、
不満げな顔つきのAさんは、思う。
(問い)「なぜ、A社ではなく、B社の株を買うのか。
A社の方が、好業績で割安、PERやPBRという投資指標も、割安というデータがある」
(答え1)「いや、A社では、あまりにも当たり前すぎて・・・・・」
(答え2)「いや、A社では、新鮮味がない」
(答え3)「確かに、B社は、PERもPBRも高い。しかし、江戸っ子は、新物好きだ」
 「行動経済学」という本では、
経済は「感情」で動いているとし、
「人は合理的である」とする伝統経済学の理論は本当か、
現実の人間の行動は、もっと複雑ではないかを検証し、
経済学に、新たな領域を築いていくものです。
 私は、こう考えています。
「行動経済学が、21世紀の経済学となる」

人間の行動 behavioral psychology 2003 8 7

 人間は、合理的な行動をするか。
「いや、しない」と答えざるを得ません。
人間のなかで、最も合理的な行動をするはずの投資家を見ればわかります。
 ここに、ある会社があります。
この会社(A社)は、財務内容もよく、業績もよい。
PERやPBRという投資の指標も、株価が割安であることを示しています。
配当金も魅力的な額です。
 しかし、投資家は、この会社(A社)の株を買わない。
「なぜ」と聞くと、こう言います。
「この会社は、知名度が低い。」
「同業種に、有名な会社があるので、
 この業界が景気がいいなら、有名な会社の株を買う。」
これでは、何のために、PERやPBRという投資の指標があるのでしょうか。
 しかし、ある時、著名なアナリストが、
A社の将来性や業績のよさを発表しました。
すると、どうでしょうか。
今まで、不人気だったA社の株が、急に人気株となりました。
 人間は、必ずしも、合理的な行動をしないのです。
だから、PERやPBRという指標だけで、市場を分析すると、誤りとなります。
市場を分析する際に、人間の行動心理を、取り入れる必要があります。
つまり、市場分析に、心理学というものを取り入れる必要があります。
 これは、PERやPBRという指標は不要であるという意味ではありません。
PERやPBRという指標と、市場心理を、両方、考えるべきであるということです。
 今までの学者は、あまりに数学的な理論に、こだわり過ぎたのです。
その結果、経済学が、いわゆる「神学論争」になったのです。
だから、投資家に相手にされなくなったのです。
それどころか、一般市民にも、信用されなくなったのです。
 株式市場においては、PERやPBRという指標のほかに、
市場心理という要素を無視できません。
市場心理を無視すると、投資に失敗します。
 最近では、経済学に心理学を取り入れる手法が注目されてきました。
心理学というと抵抗があるならば、行動科学と言いましょう。
経済学に、人間の行動科学を取り入れてはみませんか。
















































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